PDFフォーラムの22年を振り返って


FPDフォーラム名誉幹事 名雪 稔 

2023年3月

 

私が液晶技術・業界に携わるようになったのは、1992年にニューヨークのIBM半導体事業本部から帰国して取り組んだ液晶第2世代(ガラス基板サイズ370mm×470mm)の生産に携わることがきっかけでした。その後、第3世代(ガラス基板サイズ550mm×650mm)の新規ラインの導入業務を担当し、業界が次の基板サイズの第4世代に取り組む中、1990年代後半には日本液晶産業の世界シェアは80%強という時代でした。

そんな中、2000年にエレクトロニクス産業界全体が大きな不況に見舞われ、多くの関連企業が事業撤退や工場閉鎖になり、液晶業界も多大な影響を受けて多くの経験ある技術者や管理者がリストラにあいました。当時私はSEMIジャパンが主催していたPCS(Production Cost Saving)フォーラムのメンバーとして業界の多くの方々と交流をしておりましたが、その多くの方が転勤・転職・退職に追い込まれることになりました。その時に、これまで構築してきた業界のネットワークがなくなるのではないかという危惧から生まれたのがLCDフォーラム(現FPDフォーラム)で、当時のパネルメーカー、装置・材料メーカーなど多くの皆さんとの横のコミュニケーションを維持していこうと2000年秋に第1回を開催しました。

以来、年2回のベースで開催し、昨年秋には第41回を迎えました(2020年と2021年はコロナの影響により各年1回開催となりました)。当初は交流を目的とした会食とゴルフ(フレンドシップカップ)を楽しもうと企画しておりましたが、それから回を重ねて第11回ごろからはFPDの技術、市場の拡大動向(基板の大型化や応用の拡大、OLED技術の動向)、さらには半導体の動向などをテーマとした情報交換と交流の場として今日に至っております。

このような経緯から、当FPDフォーラムの運営にあたりましては一貫して会費制を敷いており、その都度かかった経費を参加者の皆さんで分担していただく方式をとり、ほとんどの講演者の方々にはボランティアでご出講をいただいてきております。時には収支がマイナスになることもありましたが、皆様のご協力とご支援により、22年の歴史を刻むことができました。

2022年5月には、第40回の記念フォーラムとして、会場に小展示ブースを設け希望される企業様に利用していただけるようになりました。この小展示ブースが好評でしたので今後も継続していく予定です。

本年6月9日に第42回を開催することになりました。今後ともその時々の業界状況に即したテーマを取り入れ、充実したFPDフォーラムを開催していきたいと思います。

 

引き続き、ご協力・ご支援をお願いいたします。